2018年7月13日金曜日

自転車業界の繁忙と閑散

業界話をする理由

意外と自転車業界話に興味がある方が多いようで、先日書きました、


の、アクセスが良かったため書いてみます。

自転車業界が一番潤う季節

私も業界に入るまで知らなかったのですが、1-4月が業界の繁忙期になります。
それは何故かと言うと・・・通学用の自転車が売れるからです。
業界ではそれを

 「春需」

と呼びます。

結局のところ、自転車業界は何で利益を上げているかというと、いわゆるママチャリと言われる実用の自転車が中心です。
ロードバイクやMTB、クロスバイクがメインが市場の大所ではありません。

ママチャリと言えば、安ければ1万円を切るシングルギアの廉価なものをイメージする人が多いと思いますが、通学需要を侮るなかれ。
可愛い孫のために、5~8万円もする通学用のママチャリを買ってあげるお爺さんお婆さんも少なくないのです。

もしくは、保育園・幼稚園に送り迎えするために電動アシスト自転車が欲しくなるパパママも少なくなく、最近はそんな需要も増えてきています。
電動アシストは安くても10万円弱、高ければ15万円近くするので、自転車としてはかなり高価なものです。

そういった理由で、春は自転車業界が潤うのです。

春需に問題提起

勿論、儲かることはありがたいのですが、それに頼っていいのでしょうか?
日本は少子高齢化社会になってきています。
つまり、需要の元となる子供が減り、それが原因で春需も年々小さくなってきているわけです。
そんな春需に年間の利益を任せてよいのでしょうか?

私はダメだと思います。
勿論、縮小するマーケットであるとはいえ、需要はあるし、そこに供給はすべきだと思いますが、それに頼り切るのは良くない。
もっと自転車の中での多角化を図るべきです。

つまりはスポーツ用の自転車、つまりロードバイクやMTB、あるいはクロスバイク。

最近は都市部を中心にフィットネスの意識高く、また、ファッション要素として自転車を取り入れる人たちも増えてきました。
そして、それに目を付けてきたメーカーや商社も少なくありません。

これからの自転車業界

成長したいなら、間違いなくスポーツ需要の取り入れだと思います。
電動アシスト自転車も伸びてきているので、それはママチャリの延長線としてフォローしていくべきだと思いますが、実用なので単価としては頭打ちするのではないでしょうか?
その結果、結局コストパフォーマンス合戦に陥って金額勝負の安いママチャリと同じ領域に落ちる気がします。

一方、趣味の領域で乗るスポーツ用の自転車は、高ければ高いほど所有欲が満たされるという一面があります。
(逆に、景気が悪ければ購買が減るという面もありますが・・・)
自転車業界はコチラに注力すべきではないでしょうか?

業界としてママチャリの市場が大きいため、それを捨てて将来性があるスポーツ用自転車に一気に切り替えることは難しいとは思います。
ですが、いつかは需要の転換期を迎えることになるでしょう。
それが10年後か20年後かはわかりませんが・・・。

楽観視はNG

伸びてきているスポーツ用自転車の需要を楽観視してはいけません。
大手スポーツ車専門店の「Y'sRoad」も、よく見ると閉店している店舗がちらほら。
スポーツ用自転車を取り扱っていれば、全てがうまくいくわけではないようです。

最近は、「良いものを作ってれば、黙って売れる時代は終わった」なんて言われて久しい世の中です。
モノからコト、ソリューションビジネスなんてのが流行っています。

自転車も同じく、自転車を売ることやアフターメンテだけではなく、「乗る楽しみ」「安全安心に乗る方法」など、ソフトの販売に力を入れなければならないと思います。

色々なサービスを求める時代に、自転車業界は対応していかなければなりません。
業界内でシェアを奪い合うだけではなく、市場を大きくする努力が必要になってくる時代だと思っています。

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